メディア・ユニバーサルデザイン

ご存知ですか、 メディア・ユニバーサルデザイン

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ご存知ですか、メディア・ユニバーサルデザイン

障がい者・高齢者などの弱者だけでなく、 社会で暮らす人々にとって、よりよい社会が実現することを目指します。

色覚障がいとは?
足の不自由な方には、車椅子があります。耳の不自由な方には補聴器があります。しかし、色覚障がいの方(色弱・色盲の方)には、補助する道具やそれを補正するメガネがありません。また、生まれつきの色覚障がいは遺伝によるもので、治す方法もありません。色覚障がいの方は、日本人男性の約20人に1人、女性は500人に1人とも言われており、総数では約320万人にもなり、身体障がい者の方とほぼ同数と言われています。この方たちに少しでも、不自由を感じない配色やデザインを提供することにより、正確な情報を伝えることが可能になります。 色の識別に不自由さを感じておられるのは、色覚障がいの方だけではありません。加齢による白内障や緑内障などにより、目のかすみや視力低下など、日常生活で不便を感じておられるお年寄りの方もたくさんおられます。ユニバーサルデザインは、お年寄りにも優しいデザインです。
色覚障がいでの見え方
色覚障がい者にどのように見えるか
色覚障がいの方の多くは「赤と緑」の識別が苦手です。右の写真は小学生が使う「算数セットの色板とおはじき」です。このような色の見え方をしているのに「赤だけを集めて下さい。」と先生に言われて困っている子供がいるはずです。「色名で事物を指示され、集める色を間違え、クラスメイトに笑われ算数が嫌いになる。」そんな可能性もあるはずです。見直さなければならないものが沢山ありそうです。
色覚障がいでの見え方
不自由な場面(例)淡い色同士の識別
近ごろ室内環境の調和のために、案内表示に淡い色が好まれて使用されます。しかし、淡い色は彩度が低くなっているために、濃い色に比べ識別がより困難になります。色覚障がいの方は「赤と緑の識別が困難である。」ことはよく知られていますが、「水色とピンク」も識別が困難です。そのためトイレ案内表示の「男性が水色」、「女性がピンク」の色分けは非常に問題です。男性と女性のデザインが異なっているので「問題なし」と思われがちですが、色覚障がいの方にも近視や乱視の人がいますので注意が必要です。
色覚障がいでの見え方
だから私たちは考えています!メディア・ユニバーサルデザイン。
ユニバーサルデザインとは、年齢や身体能力に関わりなく、すべての人々に適合するデザインで、バリアフリーと同様に大切な考え方です。今、私たちのまわりでも住まいはもちろん、家電製品、日用品、ファッションまで幅広く広がっています。
その中でも私たちが提案しているのがカラーユニバーサルデザイン(メディア・ユニバーサルデザイン)です。色の識別に不自由な方にも、加齢による色の認識能力の低下が進んだ方たちにも見やすく、どなたにでもわかりやすい表示を心がけています。例えば…
  1. 色の分類だけの表示に、色名も合わせ文字の表記もする。
  2. 紛らわしい色同士を使用せず、認識しやすい色の組み合わせをする。
  3. 線や点などで判読を容易にする。
  4. 背景の色と文字色を考慮する。
  5. グラフ表示などには引出線を用いる。
1.色の分類だけの表示に、色名もあわせ文字の表記もする。2.認識しやすい
色の組み合わせで配色する。3.色分けに形や線種の変化で
判読を容易にする。4.背景の色と文字色を考慮する。5.グラフ表示などには凡例を直接
表記するか引出線を用いる。
そのサインやホームページは正確に伝わっていますか?
今までのデザインでは、色覚障がいの方にはこのようにしか伝わっていませんでした。現在のサイン・案内板・看板・ホームページ・カタログ・ポスターなどは、色覚障がいの方には正しく伝わっていません。少しの工夫で見やすくなります。
見やすく、読みやすく! 文字に白フチをつけるだけでこんない読みやすくなります。

カラーユニバーサルデザイン(メディア・ユニバーサルデザイン)で注意しなければならないのは、色覚障がいの方は、男性では約20人に1人の割合ですから、20人中19人は通常の識別ができますので、逆効果にならない配慮が大切です。不特定多数の人が利用する施設は、カラーユニバーサルデザイン(メディア・ユニバーサルデザイン)の導入が急がれます。道路標識、電車路線図、病院内の案内表示、劇場やホールの案内表示。そして、もちろん各種印刷物も十分な考慮が必要です。

従来の路線図

線路図の説明

(左図)従来の路線図の多くはこのような表現ですが、これを一部の色覚障がいの方が見ると(右図)のように各路線のあいまいな部分が多くなり、その識別が困難になります。
ユニバーサルデザイン路線図

線路図の説明

(左図)カラーユニバーサルデザイン(メディア・ユニバーサルデザイン)を考えた路線図。
色覚障がいの方には、左の図が(右図)のように見えています。
色の識別が困難でも文字で識別でき、色の重なりも避けているため、各路線の違いがわかります。

ユニバーサルデザインとは?

メディア・ユニバーサルデザイン
人は、情報の87%を視覚から得ています。わたしたちの社会にはテレビ・新聞・雑誌・インターネット、 サインと視覚メディアがあふれています。しかし、高齢者・弱視・色覚障がい者に対して「文字を読みやすくする」という配慮がなされていません、それどころかデザインを優先するあまり、何が大事か、何を伝えたいかがわかりにくいものもあります。
視覚情報の中には公共性の高い官公庁・病院などの災害情報や食品や薬品の安全情報など生命にかかわる重要なものもあり、これらを最適化することがメディア・ユニバーサルデザイン(MUD)の使命です。
すべての人が違和を感じることなく印刷物やインターネットを見られることを望んでいます。
情報受信における視覚の役割

※参考資料:全日本印刷工業組合連合会「メディア・ユニバーサルデザインガイドライン」より

MUD(メディア・ユニバーサルデザイン)は次の機関に必要とされています!
情報発信者は常に「この情報はどんな人にとって必要なのだろうか」「特定の人にだけ機能するつくりになっていないだろうか」を確認しておく必要があります。特に「あらゆる人にとって重要な情報」「権利や安全の確保に関する情報」などは十分に配慮する必要があります。
MUDが必要とされる機関
教育関係の機関
教育機関、教材メーカー、出版社、玩具メーカー
公共性の高い機関
官公庁、公共交通機関、新聞社、電力・ガス・水道、病院、公共施設
危険、用法の告知機関
薬品、食品、機器の取扱、建築・製造現場、標識類、ハザードマップ類
情報の公平性が求められる機関
企業のIR情報、企業のCSR報告書、金融機関、生保・損保会社

※参考資料:全日本印刷工業組合連合会「メディア・ユニバーサルデザインガイドライン」より

情報受信におけるハンディキャップ
情報受信にハンディキャップ(情報弱者)がある方にはどのような方がいるのでしょうか。次のような3つのタイプに分けることができます。「高齢者」「障がい者」「外国人・子ども」です。それぞれの問題点を見て行きましょう。
1.高齢者
統計によると65歳以上の高齢者は2035年には3,700万人になると予測され日本は超高齢者社会に向かって進んでいます。個人差はありますが40代になると加齢による視覚の衰えが現れてきます、老眼や白内障・緑内障などですがその中でも白内障は「水晶体」が濁ることにより「目がかすむ」「明るいところでものが見えにくい」「ものが二重にみえる」などの症状が現れます。
白内障患者の見え方
2.障がい者
車いすを利用している肢体不自由児、視覚障がい者(全盲・弱視)、色覚障がい者の3つの方がいます、それぞれ必要とする情報が異なります。
●肢体不自由者
車いすを利用されている方は、施設でエレベーターがあるかやスロープになっているか・障がい者用トイレがあるかと言った情報が必要です、また、車いすという低い目線でものを見るのでその位置に留意することも必要です。
●肢体不自由者視覚障がい者
視覚障がい者の方には音声などによって情報を伝えることも必要です。現在はSPコードによる音声案内があります、近い将来は携帯電話を端末機にした音声案内が開発されると思います。
●色覚障がい者
日本人男性の約20人に1人、女性の約500人に1人が色覚障がい者です、男性においては全体の約5%に当たります。これらの方は、赤を識別しづらい「1型」、緑を識別しづらい「2型」、青を識別しづらい「3型」に分かれます。「1型」が約25%、「2型」が約75%です。「1型」「2型」の両者は赤から緑の波長域の色差を感じにくくなり、見え方としては近いものになります。
色覚タイプによる色の見え方によるシミュレーション
3.外国人・子ども
外国人の入国者数は法務省の平成19年版「出入国管理」によると2006年で800万人を超えています、観光やビジネスの一時滞在者だけでなく、長期滞在者も多くなる傾向にあります。最近はブラジルやフィリピンからの入国者も多くです。これらの方全てが日本語の読み書きが出来るわけではありません。重要な情報は日本語だけでなく、多言語表記やイラスト、ピクトなどを併用することが必要です。
また、子どもは難しい漢字や表現は理解できません、ふりがなを付けたり難しい言い回しは避けましょう。
カタカナの外来語にも、本来の英語とは違う意味合いで使用される和製英語が多く、外国人には逆に伝わらなかったり、誤解を招く表現になることもあります。

※参考資料:全日本印刷工業組合連合会「メディア・ユニバーサルデザインガイドライン」より

メディア・ユニバーサルデザイン5原則
メディア・ユニバーサルデザインを実践するための5原則をご紹介します。気を付けるべきこと、配慮すべきことです。
1.アクセシビリティ accessibility (接近容易性)
見えない・読めないなど、情報の入手を妨げる要因を取り除く工夫をすることです。
アクセシビリティ 高齢者には明朝体でなくゴシック体を使用したり、明度差をつけた配色を行うと有効です、また、読みやすいUDフォントも有効です。 棒グラフや折れ線グラフなどでは凡例を引き出し線で示したり、線の形状を変える工夫が必要です。
2.ユーザビリティ usability (使いやすさ)
より快適に便利に使える工夫をすることです。
ユーザビリティ 駅や施設などでの案内でトイレと表記するだけでなく、それが普通のトイレか多機能型トイレであるかやどの場所にそれがあるかなどの情報も一緒に示してあげる必要があります。 パッケージなどでは開封口をわかりやすく示してあげることも大切です。
3.リテラシー literacy (読めて理解できる)
より快適に便利に使える工夫をすることです。
ユーザビリティ たとえば文字だけの表現に頼らず、ピクトグラムやイラストなどを併用することによって、危険であることを瞬時に理解したり、文字が読めない外国人や子どもたちにも理解してもらう配慮が必要です。
4.デザイン design (情緒に訴える)
より快適に便利に使える工夫をすることです。
ユーザビリティ ハンディキャップのある方だけに偏ったデザインでは、多く使用するであろう一般の方に違和感を与え、ユニバーサルデザインの意味がありません。多くの方が見たいと思うデザインにする必要があります。
5.サステナビリティー sustainability (持続可能性を満たす品質であること)
より快適に便利に使える工夫をすることです。
ユーザビリティ 実践するのに過大なコスト負担がなく環境へも優しい配慮をすることです。将来にわたって長く使用し続けられることが大切です。

※参考資料:全日本印刷工業組合連合会「メディア・ユニバーサルデザインガイドライン」より

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